ダイビングポイントの選び方
- ドーホー
- 6月26日
- 読了時間: 8分
休日の朝。目が覚めたら天気が良くって暖かくて風が心地よい日。ダイバーなら、海行きてぇ!ってなりません??なるよね!

今日の休日はダイビングしよう!と思い立ったものの、どこに行く?何を見る?何時に帰ってきたい?
当たり前だけど、我々ダイビングインストラクターは、海に行く日は毎日やっているポイント決定について、選定方法を教えちゃおう。
大切な休みを最高のポイントで潜る
ポイント決定の要素は様々あります。天気はもちろんだけど、見たい魚や生物、地形、施設、自分自身のスキル、バディのスキル、タンクの種類、移動時間などの要素を総合的に検討してポイントを決定する必要があります。今回は、僕がメインフィールドにしている伊豆の海での話を中心に、それぞれの要素について詳しく紹介してみましょう。

天気で決める方法
まずは、天気が最重要項目でしょう。ダイビングは自然相手の遊びですから、天気次第では希望のポイントに潜ることが出来ないことも多々あります。そして、天気と一言で言っても様々な要素があります。
晴れや曇、雨?雪?も大切ですが、ダイビングは水で濡れちゃう遊びなので、雨天決行です。雪でも潜れます。むしろ冬の海は面白い!だから、ダイビングは天気よりも海況と言われる海の気象の方が大事です。
海況とは、波の高さや向き、透明度、水温、潮汐、海流のことです。
波の高さを波高と言います。波は“基本的には”風によって出来ます。風が強く吹けば波は大きく、弱ければ小さいです。さらに、波はかなり遠くまで伝わるため、風が吹いていないのに波が大きいことがあります。その典型的な例が台風です。はるか南にある台風でも、そこで猛烈に吹いている風により大きな波が作られ、数千キロ先までその波は届きます。それがうねりです。そして、最初に“基本的には”と言ったのは、津波も波のひとつだからです。2011年の東日本大震災のときはもちろんですが、それよりも前に、早朝に南米チリの地震で発生した津波によって、午後から伊豆の海が全域潜水禁止になったことがあります。波が地球を半周したのです!
しかし、風が強くても風の裏側に位置する海に波は届きません。西風が強くても東海岸の海に行けば波は避けられます。東風なら西海岸へ。また、東風でも沖の向きが西よりに向いているようなポイントでは東海岸でも潜ることが出来ます。伊豆で言えば、八幡野や赤沢がそれになります。よって、ポイント毎の地形を考え、どの方向からの波に強いのか?弱いのか?を把握することが大切です。
経験のあるダイバーも多いと思いますが、実は台風が接近していても潜られるポイントは幾つかあるのです。伊豆で言えば、富戸や大瀬崎はその代表でしょう。ただ、他の要素で中止することがほとんどです。大雨や強風で電車が止まったり、最近では高速道路も予防的通行止めになったり、なによりご家族が心配されますよね。海況判断に関しては、無理は禁物!迷ったら止めろ!僕の教訓です。

次に潮汐について。海で起こる潮の満ち干きのことです。特にビーチダイビングで、エントリーやエキジットの容易さで言えば、ダンゼン満潮時です。そして、海の流れのほとんどが潮汐によるものです。干潮から満潮へ向かうときの流れが上げ潮、干潮に向かうときが下げ潮です。潮の満ち干きが大きくなる大潮の期間は流れが速くなる傾向があります。逆に小潮の期間は弱い傾向ですが、絶対ではありません。自然の原理は完全には分かりませんね。でも、干満の時間はほぼ分かっています。天気予報や専門サイトなどで調べれば数カ月先まで表示されるはずです。しかし、潜る当日の潮汐時間を調べても、都合よく満潮時間に潜れるとは限りません。その場合は可能な限り潮位の高い時間を選ぶようにし、干潮時間は休憩に当てるなどして、なるべく最干時間を避けるようにするとよいでしょう。
そして、透明度や水温については、直近の現地データをホームページなどで取得してください。伊豆の場合は、各ダイビングポイントにある現地サービスが、ほぼ毎日情報を更新しています。でも、昨日良かったのに今日ダメ、、、ってこともあります。もちろんその逆で良くなることもある。これも自然のことなので分かりません。。ただ、現地に伝わる観天望気のようなこともあり、東伊豆にあるI.O.P.ではナライ(北東風)が吹くと透明度が上がる。と言われます。実際に僕も何度も経験しています。
このように、気象や海況を調べ、ポイントの地形を把握して、現地の情報を得て、ベタ凪ブルーな海を目指しましょう!
見たい生物、地形で決める方法
ダイビングの楽しみのひとつに“生物との出会い”があるでしょう。イルカやクジラ、マグロ、マンタ、サメなどの大物。バラクーダやアジ、イワシなどの大群。ダンゴウオやウミウシなどの極小生物。カエルアンコウなどの擬態生物。産卵や抱卵、捕食などの生態シーン。その地域に多くいる固有種。季節ごとに変わる旬な生物。海の中、水の中には様々な面白い生物がたくさんいるのです。それら生物と出会う感動は一生忘れられません。僕も思い出せばキリがないですが、ナズマドで出会ったクジラ、イルカ。第一発見者になった極小カエルアンコウやツノザヤウミウシ、ダンゴウオ。などなど出会った瞬間は水中で雄叫びとガッツポーズです!感動しますよ!

そんな生物を狙うには、情報収集に尽きます。直近の情報だけではなく過去の同時期の情報も参考になります。また、狙う生物の特徴を知ることも大切。例えばカエルアンコウはカイメンに擬態していることが多く、ウミウシはエサであるコケムシにくっ付いていることが多い。さらにマンタやクジラは水底には居ません。詳しくは別の機会に。
また、水中地形も魅力のひとつですね。洞窟や沈没船に潜ることはダイバーの憧れでしょう。伊豆の海では春になると海藻がたくさん生えて、まるで森のようになります。最近では磯焼けと言われて海藻が激減していますが、今年は西伊豆の大瀬崎では海藻が復活しました!
これら地形に関しては、ポイントを知ることです。伊豆で洞窟ダイビングの代表格は雲見でしょう。穴から穴へくぐり抜ける冒険感は地球の神秘を感じます。そして、沈没船ダイビングなら熱海です。水深40mに沈む全長80mの船は圧巻です。どちらも真っ直ぐに浮上できない環境下で潜るので、ある程度の潜水技術と経験が必要になります。事前に参加ルールを調べておいてくださいね。

例えば、この記事を書いている6月に伊豆の海で潜るなら、僕はアオリイカの産卵を見に行きたいです。産卵に夢中になっているイカは目の前まで寄って来てくれて、数十杯も見られるときがあります。また、最近ではI.O.P.にハンマーヘッドシャークが高確率で現れているらしく狙いたいと思っています。(実は既に5、6回チャレンジしましたが外しましたwww)
その他の要素で決める方法
ここまで紹介した内容がポイント決定の王道でしょう。では、その他の要素があるのか?

意外と大切な要素は、タンクの種類です。例えば、冬でドライスーツを着用してインナーが分厚いとウェイトは重くなります。そこに加えてアルミタンクだと、、、重い人で15キロ以上ウェイトを身に着けることになります。少しでも軽くできるスチールタンクを選びたいですね。そして、ポイントによって扱っているタンクの種類が違うので、事前に調べておくことが必須です。
また、利用する施設も大切。シャワーやトイレがあることは必須として、休憩中に雨よけ出来る場所があるか?冷えた身体を温められる温水浴槽があるか?などの施設の充実さも大事です。

移動に掛かる時間や費用も気になる。例えば、車で一人で運転する場合、遠くのポイントは厳しいでしょう。早めに帰ってきて飲み会がしたいなら近場が嬉しい。週末か平日かで交通渋滞も影響します。当店のある八王子から車で海へ行く際、片道だと小田原エリアで1時間30分ほど、西・東伊豆・千葉エリアで2時間30分、南伊豆エリアで4時間ほどです。限られた時間の中で最高なダイビングを目指しましょう。
そして、一番肝心なことは、自分自身と一緒に潜るバディのダイビングスキルです。目の前にどんなに素晴らしい海が広がっていても、そこに潜れるスキルが無ければ、楽しくも面白くも感動もしません。ただただ怖いダイビングで終わってしまうでしょう。ポイントによっては本数制限やアドバンスなどのランク制限を設けているところもあります。どんなポイントどんな海況でも潜れるよう、日々スキルを磨いておきましょう!50ダイブ以上でアドバンス+ディープSPを取得していれば、世界中のどんなポイントでも規制をクリアできるでしょう。
このように、その日に潜るポイントを決めるだけでも検討要素がたくさん!
でも、あなたの大切な大切な休日を最高の一日にするためには、どれも欠かせない要素なのです。もしかしたら、ここに書ききれていない要素がまだまだあるかもしれません。
しかしながら、せっかくの休日に頭を使って考えて、ポイント決定するのって面倒ですよね??天気予報を見て、風向きや波高、潮汐を参考にして、生物チェックして、ルールを調べて、渋滞情報を確認して、、、、
そんなダイバーのために当店はあるのです!!
皆様の休日を最高に楽しく、最高に面白く、安全で快適なダイビングをご案内するため、日々のダイビングツアーでは、これら全ての要素を包括的に検討し、その日一番のポイントを決定しています。また、多くのお客様にメンバー登録をして頂いています。そのため、一人一人の苦手や好み、ダイビングスタイルを僕たちスタッフが把握することで、より良いダイビングのご案内が可能になると確信しています。

海と一緒に過ごす休日をご提案し、一生の思い出に残る経験をして頂きたい。人生を変えるような感動体験を僕自身も体感し、お客様の感動と一緒に過ごした経験は僕たちの財産です。
さあ、明日も最高の海に潜りましょう!!
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